入力している今は12月30日、午後7時。12月も何かと忙しく、また久しぶりの入力となってしまいました。写真はそれなりに撮っていますので、このあと回顧録としてアップします。昨晩は「社会保障と税の一体改革」に関連して、野田総理も出席して深夜まで会議が行われ、消費税率引き上げに関する党の方針が了承されました。僕自身、一昨年来、テレビ出演やマスコミ取材で「消費税はいずれ引き上げなくてはならない。2010年代半ばに10%台半ばが必要」と発言してきましたが、了承された方針はそれに近い内容となりました。もうひとつ発言してきたことは、「次の総選挙は消費税が争点になる。各党が、何に使い、税率を何%ぐらいにするかということを明示して、その信を問うことになる」ということです。これも、実際にそういうことになりそうです。
具体的な展開として、①法案を成立させて選挙に臨むのか、②法案を提出している状態で選挙に臨むのか、③方針を掲げて選挙に臨むのか、という点は選択肢があることになります。
問題は、八ッ場ダムの工事継続問題でした。大型公共事業を今までどおり続けるようでは、消費税率を引き上げても、財政再建や社会保障制度の持続可能性を高める取り組みは「穴の開いたバケツ」に水を汲むようなものです。再度工事中止になったわけではありませんが、さらに建設の合理性の検証等が行われるまで本体工事には着手しないと野田総理が基本姿勢を変えたと聞きましたので、とりあえずそういうことでしょう。人口が増え、経済成長が続いていた時代に決めた大型公共事業の見直し、断念なくして、財政再建も社会保障制度の持続可能性を高めることもできません。
ダムを含む公共事業は、ひとつの事業の予算、単年度の予算だけをみていても、問題の本質は見えてきません。国も地方も、これまでの決定や計画を踏襲するようでは、今後何年間、何十年間にわたって、トータルでは数十兆円もの財源を投入していくことになります。ここを変更するのが、財政再建や社会保障制度の持続可能性を高めるうえで、非常に重要なポイントです。過去のインフラでも、維持更新を断念せざるを得ないのが実情です。
ダム、道路、空港、港湾、上下水道、その他の社会インフラ(社会資本)は、「将来世代も使うので、その財源は建設国債でよい」という論理で、これまで、湯水のように財源が投入されてきました。それは基本的に現在も続いています。農業土木、宅地整備、工業用地整備など、それに類する論理で展開されてきた分野はほかにもあります。
しかし、今や人口減少社会となりました。それでも従来の決定や計画を踏襲して財源を投入し続けることは、将来世代に耐え難い負担を課します。「将来世代も使う」という「方便」はもはや許されません。そう言って、ほとんど活用されない社会インフラや箱物、あれば便利的な(つまり、なくても困らない)ものを、膨大につくり続けてきました。将来世代は、大型公共事業、社会インフラ、箱物建設の決定や選択に参加できないのです。子供・若者世代や、これから生まれてくる未来世代を含む将来世代には、投票権がなく、議論に参加することも保証されない中で、過去世代、現在世代が「将来世代も使う」という「方便」を駆使することを止めなくてはなりません。
都市整備などにおいても「やりすぎ」「つくりすぎ」の弊害が出ています。郊外に拡張しすぎた開発の結果として、中心市街地は寂れ、郊外の緑地も破壊し、全体としての資産価値を下げ、悪循環に陥っています。これも、このまま続けていては、将来世代に過酷な結果を残すこととなります。
日本は正念場を迎えます。いや、既に正念場を迎えているにもかかわらず、それに真摯に対峙してこなかったことが「失われた20年」の原因です。
都市再生基本方針の見直し、総合特区制度の創設、社会保障改革案の策定など、自分にできることは、着実に、地道に手がけてきました。来年も引き続き、地に足のついた仕事をしていきます。